厚みのあるケンタ系StudioDaydream「KCM-OD Gold V9.0」レビュー

超伝説的なエフェクターのKLON ケンタウロス(ケンタウルス)のクローンペダルの中で「作りが良くて質が高い」と評判の、StudioDaydream KCM-OD Goldを購入しました。

使い勝手が良いペダルで、作りの良さが際立ち、そして音も良くて気に入っています。

この記事は、元ブログ「買い物かごの中身と実験と考察」での記事を再編したものです。

KLONのケンタウロスについておさらい

私が述べる必要もないぐらい知名度があり、様々な考察が為されています。

 色々な事情があって、有名なケンタウロスのマークがあったりなかったり、金色だったりシルバーだったり、時期によって音が違うとかなんとか。しかも、オーダーシステムが「ユーザーのプレイスタイルやジャンルに合わせてチューニングして納品」だったらしく、個体差もあるとの噂です。

 これほどまで考察されているのは、なんとなくエヴァンゲリオンのようですが、それぐらいにレジェンダリーな作品な訳です。ちなみにケンタウロスは、特徴的なケースが入手できなくなったことを理由に生産が終了しました。そのため、クローン製作も盛り上がったわけで。そして、時を経て本家KLON KTRが次期モデルとして復活して、今も(一応は)生産しているようです。(シン・エヴァかな?)

 ケンタウロスはアウトプットレベル、トレブル、ゲインのオーソドックスな3ノブスタイルです。特徴は、昇圧回路を内蔵したことによるヘッドルームの広さと、ペダルオフ時にも効いているバッファーの優秀さ、歪ませた音に原音がミックスされることが後に大きな影響を与えました。これらの技術がケンタウロス発祥かどうかは私は調べていませんが、これらの技術を搭載したペダルは、ケンタウロスを踏んで産まれているといっても過言ではないのでは?と感じます。

 ケンタウロスはオーバードライブに分類されますが、ブースターとしての使用が有名です。また、バッファーの効果によって「繋ぐだけで音が良くなる」とも言われたりしています。

StudioDaydream KCM-OD Gold V9.0について

 KCM-OD GoldのVersion9.0となります。2024年10月現在で最新です。

 KCM-ODはゴールドとシルバーがあり、ゴールドは基板の銅箔の厚さからゲルマニウムダイオードから抵抗、コンデンサまでコダワリまくり、ケースサイドから各種微調整が可能となって2万7800円です。ゴールドは、ケンタからStudioDaydream流に手を入れたサウンドとなっているようで、一般的なケンタ系に比べて厚みが増されているように感じます。

 シルバーは1万6800円で、良質な設計はそのままに、比較的手に入りやすい部品で構成しているようです。サウンドの傾向は一般的なケンタ系に準じており、ある企画の比較では「シルバーの方が実物に似ている」とされていました。

 自分はそこまでケンタウロスに思い入れがあるわけではないのでシルバーとゴールドと悩みましたが、タイミングよくゴールドが入荷したことと、説明文を読むとゴールドには「やりたいことを全部詰め込みました!!」という気持ちよさがあり、購入を決意しました。

StudioDaydream KCM-OD Gold V9.0のレビュー

クリッピングを選択することができ、ケンタウロスと同じゲルマニウムクリッピング、シリコン、LEDの3種類を選べます。また、ローブーストの量を調整できます。バッファーON-OFFも選べますが、ここではONを前提とします。
 内部で昇圧されており、9V入力専用です。この手の昇圧系ペダルだとDCアダプタによっては動作が不安定になったりしますが、こちらはかなり安定していますね。このあたりも高評価。

 ゲルマニウムクリッピングは、ちょっともっさりというか柔らかい、いなたい雰囲気。シリコンはもう少しクールな感じ。ゲルマニウムに比べて中高音の鋭さが乗っかる印象のように感じます。LEDはジャリジャリとハッキリ。ゲインを上げるとファズっぽさもある歪みです。

 私の基本設定であるゲルマニウムクリッピングでのオーバードライブ用途のレビューから。ゲインを上げると、優しさのある歪みの中に、原音の芯があります。ニュアンスには追従してくれるもののアンプライクさは薄く、しっかりコンプが効いて、ハッキリ歪む印象です。ゲイン下げ目、トレブル上げ目で、ストラトのフロントで弾くと鈴鳴り感があって好きです。
 KCM-ODのチューニングが上手く、極端すぎることをしなければ、どのセッティングでも使いやすいサウンドです。ゲインを上げてもノイズが少ない。

 ゲイン設定9時ぐらいから原音ミックスの具合が大きく変わるのか、クセというか音域の谷?山?が大きく出るのが気になります。ここがスムースに繋がると非常にうれしいのですが…。

 ブースターとしての使用も流石です。後段の歪みに厚みが加わり、滑らかに、迫力が出ます。マーシャル系のアンプをクランチ設定にして、KCM-ODでブーストすると、どこかで聴いたあのサウンドになります。

 ローブーストを上げるとかなり低音が持ち上がります。買った当初は過剰かな?と思ったりもしたのですが、カラッとした軽やかなサウンドと、厚みのある暑苦しいくらいのサウンドを切り替えてゆく際には、これぐらい厚みがあった方が良いのかな?と最近では感じています。

バッファーについて

  基本として、バッファーを通すと音にハリが出て、煌びやかさが出て、解像度が上がります。KCM-ODのバッファーはそこに厚みが載って良いです。バッファーの中でもパワーが強力なのか、入力段から歪みに関わってくるようなエフェクター(FETとかで構成されたエフェクター)では、バッファー無しではバサバサした感じだったのがスムースに、歪みに鋭さが加わったりして印象がかなり変わります。

 いまいち歪み切らないなぁと思っていたエフェクターが生まれ変わる感触があるので、試してみることをお勧めします。

作りが良いKCM-OD おすすめです

 とにかく作りが良いです。ケースの質感の良さ、ノブやジャック、スイッチといった操作部分に高品質な物を使っている感触、サウンド、ノイズの少なさなど、満足感が高いです。Youtubeで本家との比較動画などがアップされていますので視聴してみますと、方向性は同じだけど、本家よりも整っている、ハイファイな印象で、日本人が作るペダルっぽいよなぁと感じています。

 ですので、完璧なクローンペダルではなく「強くケンタウロスを意識した良質なオーバードライブ」としては良いものであると感じています。一方、ケンタウルス系として評価するとアレンジされている部分もそれなりにあり、しかも超有力ライバルが非常に多い分野です。見かけたら、そして可能であれば他のケンタ系と比べながら検討するのが良いと思います。

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