Bondi Effects「Del Mar Overdrive mk2」のレビュー

Bondi Effects 「Del Mar Overdrive mk2」を購入しました。

煌びやかさ、音抜け、ニュアンスへの反応は素晴らしい一方、一部のハムバッカーとはアンマッチなところもあったりと、「ハマる人にはハマるOD」というアイテムでしたので、詳しくレビューします。

Bondi Effects「Del Mar Overdrive mk2」大まかな紹介

 TS系とBluesBreaker系のモードが選べる2バンドEQオーバードライブです。とだけ言ってしまうと、今では割とありふれた印象かもしれません。また、ゲインノブと原音のミックスが連動して動くところはケンタウロス系を踏襲した回路にもなっています。

 mk2という名前の通り初代モデルが存在します。初代は、販売終了後にMateus Asatoが使用していることが注目を集めて猛烈なプレミア価格にまで高騰。それを受けて限定生産の「Reissue」、現在の「mk2」が発売されるようになりました。

 注意すべき点は、初代だけは音が結構違うということです。Reissueとmk2は多少違うかもしれないけど似た方向性であるというのが一般的な見解です。初代は滑らかでふくよかな方向で、Reissue、mk2はクリアできらめきが強調されています。

Bondi Effects「Del Mar Overdrive mk2」を購入したきっかけ

 シングルコイルでの使用を想定したメインになるようなローゲインオーバードライブを探していたから。本家BluesBreakerは好きだけどもう少しすっきり、パワーもゲインもある小型のモデルが欲しかったから。

Bondi Effects「Del Mar Overdrive mk2」のレビュー

 センターのスイッチ上側がTSモードで、下側がBluesBreakerモード。クリッピングが変わり、その都合で音量は変わるものの、イコライジングは変わっていないように思います。BASSとTREBREのイコライザーは12時位置をニュートラルにブーストとカットが効くようになっています。

 このことを踏まえてもらって最初に全体的なサウンドの傾向から。繋いでEQとDRIVEを12時に設定してジャーンと弾くと、中高音域の音抜けに効いてくる帯域がぐっと持ち上がっているのを感じます。トーンを上げ過ぎだろうか?と絞っても特徴的な中高音域が残っている感じがします。
 低音域は、もたつきの原因となりやすい中低音から低音にかけてが抑えられます。ただし、かなり低い領域は残っており(なんならブーストされており)、その音程感の無い低音がサウンドの下支えとなってくれているように感じます。

 EQの効き方が特徴的です。効きが強力かつ効く範囲が狭い印象。

 TREBLEは歪みが生じた時のジャリジャリとかジリジリとした領域を中心に効く印象で、自分はTREBLE12時位置から初めてDRIVEを上げつつTREBLEを下げるような使い方になりました。下げる量はギターやアンプ次第で調整する感じ。

 DRIVEを上げると中低音域も持ち上がってくるので、それに合わせてBASSも下げて使っています。DRIVEによって中低音域がかなり持ち上がるので、アンサンブルに合わせる際は積極的に下げる方向になると思われます。逆に、ソロギターなどで音域を埋めたい人は上げ目に設定すると気持ちが良いのではないか?と感じました。

 では、EQを上げることはないのか?ということですが、クリーンブーストの時にEQを上げた設定が効きます。DRIVE ゼロ、EQ12時でかなりトランスペアレントになっており、そこからEQを上げていくことで、太くパワフルなサウンドや、きらびやかなサウンドにすることが可能です。なお、DRIVE 0ならばEQを共にほぼゼロにしてもサウンドとして成立します。ですので、EQ下げめにして、VOLUMEを上げて相対的に中音域を持ち上げる使い方も良いです。そうであっても、抜けの良い明るいサウンドは残っています。

★TSモード

 Del Marのそもそものコンセプトが、Klone ケンタウロスのコントローラブルさや抜けの良さに、TS-9のスムースなドライブ感をミックスさせることだったようです。そのコンセプト通り、基本は抜けの良いクリアーなサウンドに、DRIVEを上げていくと滲むようなドライブ感がついてきます。

 高音域が持ち上がっているからかギラギラとした成分は強めに出ます。これはEQ(TREBLE)の特性の影響も受けているようで、TREBLE控えめでも抜けの良いTS系が楽しめます。ピッキングニュアンスにも反応する感触があり、エフェクターとの対話が楽しめそうです。

★BluesBreakerモード

 こちらのモードは”シュレッショルド(閾値)”の感覚を重視したものだそうで、DRIVEを上げるとクリーンなところからジリジリっと急激に歪む感じが生まれます。DRIVEを上げると、歪みの閾値が近づいてきて歪みやすくなりつつ、歪んだ時の鋭さが増してきます。TSモード、BBモード共に、ピッキングやギター側ボリュームへの反応が良く、BBモードではそのあたりのコントロールと歪み感の応答がさらに良好になり、弾いていて非常に楽しいです。なお、低音域と高音域が両方ともに持ち上がる感覚があります。

 自分は、スタジオでJC-120を使うことを前提として、JC-22を家のメインにしています。注意して欲しいのは、JCの特性と、BluesBreakerモードの歪みはじめの「ジリジリ」感の相性が悪いのか、妙に強調され過ぎるような感じがあります。本家Blues Breakerや、モーニンググローリーはそういう気難しさは無いのですが…。うっすら歪み始めた真空管アンプであれば、ジリジリは薬味程度になるのか、それともアンプの歪と相まって気にならなくなるのか…。JC-120&BBモードで使うことを想定する人はDel MarのTREBLEを下げるとか、注意が必要そうです。(24年10月8日追記:ジリジリ感はアンプとの組み合わせで印象が変わりそうです。)

ネガティブな印象を持った点

 基本はかなり気に入っています。上記はほとんどシングルコイルと組み合わせた時で、自分のヴィンテージ系~スタンダードなシングルコイルとの相性は最高でした。

 一方、ハムバッカーとの相性は気を付ける必要があります。具体的には、GibsonのCutombucker AlnicoⅢでは、カスタムバッカーの美味しい中低音域と、Del Marがカットしている音域がぶち当たるのか、明らかに不自然な音のバランスになりました。数人に聞いてもらいましたが、全員が即答で「合わないね」という感想でした。

 ハムバッカーは全部合わないか?というとそういうわけでもなさそうで、超ハイパワーだけどバランスは良くてすっきりしているSuhr Aldrichだと、そこまでの違和感はありませんでした。(ただ、パワフル過ぎて、Del Marの美味しいローゲインでコントローラブルなところが出せないけど…。)

 また、音を出せば「Hi-Fiで、音抜けが良くて、明るい音になる」のが良いところであるため、どうやってもその傾向があり、いなたいとか、ダークとか、枯れたサウンドは出ないです。(出ないとは言い過ぎだけど、良さは出てこない。) ヴィンテージ系のギターに組み合わせると良い具合に効いてくれます。しかし、友人のPRS Silver Skyなんかはドンシャリ(ミッドスクープ)なサウンドであり、Del Marと組み合わせるとドンシャリが強くなりすぎるようなこともあります。
(ちなみに、Silver Skyのミッドスクープさがジョン・メイヤーサウンドの肝らしく、こちらの方がDel Marはジョン・メイヤーに合う!!って言われているのは、そういうことが理由なのかな?と思います。)

 あとは価格。大きなポイント還元や割引もあって、実勢はもう少し下がるものの、定価は6万円(24年10月現在)です。6万はさすがに高いんじゃないかなぁ。ポテンシャルは高いので「オーバードライブ、これひとつでいいや」と思える人は価値あるレベルだとは思っています。

※追記:この後、Suhr V63+にピックアップ交換したギターと組み合わせると非常にマッチングが良いと感じるようになりました。それにより、上記のネガティブポイントがかなり薄く感じるようになりました。

最後に

 このように、このペダルが得意で、出したいサウンドが明確です。2モード、2EQと、よくある構成と最初に述べましたが、そういうペダルの「大体なんでもできます」という感じとは大きく異なります。この点を理解して、好きになれるか?がポイントです。何度も書いたように、中高音域がぐっと持ち上がる感じに注意してください。

 Mateus Asatoが使っている(いた?)ことに話を戻すと、Suhrの中でもトラディショナルなサウンドのするギターにDel Marを組み合わせ、ギターにフォーカスした演奏をする際に、Del Marの煌びやかさを加えつつ、BASSを上げて音域を埋めるような使い方をしていたのかなぁ?と予想します。実際に、そういう使い方に合うと思います。

 高価だと書きましたが、方向性が定まったサウンドが好みに合って、そこに強力なEQが組み合わさったDel Marを自分のサウンドの軸に置くような使い方ならば、手放せないデバイスになるのではないか?と感じています。

 自分は、ストラトのフロントとの組み合わせが気持ちよくて気に入っている他、BASSをカット気味にして、ローがだぶつきやすいFUZZ FACE系やBig Muff系の前段のブーストとして使ったりしています。このブースト用途は、きらびやかなDel Marの特性とマッチしており、心地よいです(とはいえ、ブーストだけにこれを使うのはもったいない気もしますが…)

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