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EMMA Electronics「ReezaFRATzitz 2」を2024年に再評価。これは忘れ去られた名作。

 デンマークのEMMA Electronics「ReezaFRATzitz 2」を購入しました。「ReezaFRATzitz 2」の登場は2010年頃、初代「ReezaFRATzitz」はそれより以前(たぶん、そんなに前じゃない)と、そこそこ長い歴史を持つペダルです。過去には「ReezaFRATzitzでディストーションの旅が終わる」とまで言われたようですし、その回路も新しいアイディアが盛り込まれていたもので、サウンド的にも技術的にもエポックメイキングだったと言えるのではないでしょうか?

EMMA Electronics ReezaFRATzitz 2 レビュー

 一方、2024年にもなると注目度が非常に低くなり、もはや知る人も少なくなってきてしまいました。このような中で、今更ですが購入してレビューしてみることにしました。

画期的だったEMMA Electronics「ReezaFRATzitz 2」

 EMMA Electronics「ReezaFRATzitz 2」はロジックICを使った歪みペダルです。ロジックICとは、デジタル信号(0か1)で動くもので、0=0V、1=5Vとか10Vの入力に対して、例えばNOTなら、0に対しては1を返す、といった決められた動きをする要素が複数組み合わさったICとなります。

 詳細は割愛しますが、この動きは、ある入力に対して無限に大きくする働きと見ることができ、これはエフェクターで一般的なオペアンプも近い性質がある(元は親戚)ので、上手いこと回路部品を付け加えて、欲しいだけ増幅するように働かせているのが、ReezaFRATzitz 2の中身となります。歪みもこのロジックICを飽和させて作っており、いわゆるダイオードクリッピングは行っていません。そして、ReezaFRATzitzはこの回路構成の先駆けだったのです。

 特徴的な操作入力がBIASです。これはロジックICの作動電圧を変化させているもので、電圧を上げる側だとレスポンスが良くなって鋭く、下げるとマイルドに弾きやすい方向性になります。この操作もオリジナリティーがあるものでした。

結構、いや、かなりすごいぞEMMA Electronics「ReezaFRATzitz 2」

 基本なサウンドの傾向は「ミッドを強く押し出したディストーションサウンド」「歪みの傾向はマーシャル系」です。よって『それなりにパワーのあるPUでゲインを高めて歪ませると、70~80年代ハードロックのサウンドが一発で出る』という感じ。特徴的なのが、歪みの質がマイルドさと鋭さの共存したような感じで、鋭さが音抜けやキレを演出している点です。

 ゲインを下げた時のちょっとパサパサした質感も、それはそれでアンプっぽいです。そして、前段にTS系などのブースターを配置すると、アンプをプッシュした時のような、スムースさのあるディストーションサウンドになります。まじで最高。ボリュームを絞ったときの挙動も、アンプっぽさがあります。完全なクリーンにはなりませんが、歪み感が落ち着いて、パサパサした質感に。なお、ボリュームを絞ったときのキレッキレでキラキラした系のクリーンにはなりません。

プッシュするならTS系が定番。CULTのTS808 1980 #1 Cloning mod. for Playerとの組み合わせはさすがに最高ですが、一般的なTS系でも全く問題ないです。

 EQはBASSとTREBLEの2バンドEQで、それぞれミッドにも影響を与えます。本当に狙いたいサウンドがあるなら、アンプ側も含めて微調整が必要かもしれません。EQ自体はバランスが良く、よっぽど極端なことをしなければ破綻はしないと思います。

 ちなみに、シングルコイルでもハムバッカーでも共に相性は良好です。ハムバッカーだと、古き良きハードロックです。シングルコイルだと鋭さが前に出て、パンクロックっぽくもなります。

アンプを選ばない汎用性

 このような味の濃いディストーションを使う場面=歪み量の少ないアンプに組み合わせる場面ということだと思います。JC系とフェンダーデラックスリバーブに組み合わせたので感想を。

 共に、鋭さのある歪みの質感によって、JCとかデラリバとは思えないキレのあるディストーションサウンドが飛び出してきます。ペダル自体の低音がかなり強く、EQで削りすぎるとミッドも減って旨味が減るので、うまくアンプ側も使ってコントロールしましょう。

 加えて、ミッドが強いペダルでもあるため、ミッドが強いアンプと組み合わせると飽和気味となってしまします。同様に、ミッドが異常に出るPUと組み合わせても飽和しがちですから注意しましょう。

 ちょっとした注意点はありますが、基本的には繋いで踏んでEコード一発でハードロックの始まりです。

忘れ去るには惜しいペダル

 時代遅れになると、伝説的なサウンドも見劣りしてくるというのはよくある話です。ただ、このReezaFRATzitz 2に関しては、いまだに第一線で戦える性能を持っているのではないか?と思います。

 話題に上らなくなった理由としては、広告が打たれていないことや、有名なギタリストが使っていないとか、わかりやすいキャッチーな機能(キーワード)が無いとか、国内定価が高くなりすぎたとか、いろいろなことが考えられます。でもね、一発弾いたら、この良さが分かると思いますよ。もうちょっと話題に上がって、もうちょっと定期的に売れる商品になってくれたらなぁと思うわけです。

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