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効果の高いOvaltoneのNue Device シグネチャーシリーズで最終調整

OvaltoneのNue DeviceをSSHスタイルのギターに搭載しました。リアハムにシグネチャーシリーズのHB、フロントとセンターのシングルにSCを使っています。ハムバッカーは厚みとキレのある感じ、シングルはキラッと鋭さのあるサウンドが出ていて、双方の良い部分が引き立つ仕上がりとなりました。いろいろな人に「良い音!」とほめてもらっており、Nue Deviceの効果かな?と思っています。

Ovaltone Nue Deviceについて

 Nue Deviceはトーン用コンデンサーの代わりに取り付け、同様の役割をする部品になります。「コンデンサーの違いは音に影響しないだろう」と考えている派閥の方は多くいらっしゃるのは理解していますが、Nue Deviceは『積極的に変わるように作ったパッシブデバイス』で、ギターの中に仕込む、トーン回路の代わりに搭載するエフェクターです。これはちょっと大げさに書いていますが。

 Nue Deviceは、オーバルトーンのメンバーが行きつけのリペアショップが秘蔵するコンデンサーの出音を再現するところから始まっており、最初にバランス型の「ROSSO」、ダークで重心低めな「NERO」、ブライトでスピーディーな「BIANCO」と3つがラインナップされて、メロウでウォームさのある「ORO」が追加、その後、バンブルビーコンデンサーを再現した「THE BEE MOD」、セラミックコンデンサーを再現した「THE DIME MOD」がリリースされました。そして、25年8月時点で最新作となるのが今回使用したシグネチャーシリーズで、シングルコイル向けの調整を加えた「SC」、ハムバッカー向けの調整を加えた「HB」がラインナップされています。(なお、特定のギターメーカー向けの特注品も存在しました)

Ovaltone Nue Deviceを搭載したギターについて

 SAITO GUITARS S-622CSに搭載しました。私のS-622CSには、シングルコイルにSuhrのV63+、リアハムにSuhrのSSHを搭載しており、ワイドレンジなモダンサウンドに仕上がっています。

 少し前の段階で、SAITO純正のリアハムにNue Device シグネチャーシリーズのSC(シングルコイル向け)を組み合わせ、カリッとしたサウンドに変化することを確認しつつ、その後にSuhr Doug Aldrichに交換した時点で、普通のオイルコンデンサに変更していました。

 SCを外してオイルコンデンサに変更した理由は、SCを採用すると煌びやかさが立つサウンドバランスに大きく変化し、Doug Aldrichのバランスとアンマッチになったからでした。もっとミッドがゴリゴリ出てダークなリアハムならマッチしたかもな。一方、Nue Deviceはそれぐらい大きく影響するということを感じていました。

Ovaltone Nue Deviceの再セッティング

 というわけで一度取り外したSCと、HBを新たに購入して再セッティングすることにしました。部品は以下となっています。

・Vol 500k
・シングル用トーンPOT 250k
・リアハム用トーンPOT スイッチ付き500k
・5ポジションSW
・インピーダンス調整用510kΩ抵抗

 インピーダンス調整用抵抗は、シングル用250k POT部分で信号ラインを510kを介してGNDに接続し、シングル用トーンPOTが接続されているときはこの510kとVolの500kが並列となって、シングル用Vol風の250kとしてふるまうというものです。って言葉では分かり辛いと思うので、オーバルさんのWebサイトを見てください。ページ下段の「配線図例 B SSH Traditional」あたりが参考となります。

Kaleidocycle Pickup - Ovaltone -handmade effect pedals-
Kaleidocycle(カライドサイクル)とは複数の四面体が環状につながり、連続的に回転する立体構造物の呼称

Ovaltone Nue Device 「SC」と「HB」の感想

 最初に感想は「サウンドがバシッと決まった感じがある」というものです。それぞれ好印象を持ちつつ、モダン系のサウンドに変化するなぁと感じています。

はんだは、Frious Note GuitarsさんのDolce
フロントセンターのシングルにSC、リアハムにオイルコンを搭載している状態
Ovaltone NUE Device
交換完了!あとは音出し!
SCの感想

 先に、セラミックコンデンサを取り外してSCをシングルコイル用に取り付けました。Suhr V63+との組み合わせは、変な刺々しさは無く、煌びやかで全域がバランスよいです。キラッとした反応の良さが印象的で、低音域はまとまりがあって締まっているように思います。

 スタジオで何度も使用した感想としては、音抜けが良く、スコーンと映えます。雑味が少なくて、分かりやすく良い音です。その場にいた何人にも、とても褒めていただきました。Suhrのピックアップは良い物だとは思いますが、「どんなギターでもぶち抜けて、すげー良い音が飛び出してくる」ほどではない(それは期待しすぎ)と思っているので、これはボディーとのマッチングと、SCによる効果かな?と思っています。

 Bondi Effects Del Mar MK2+JC-120のセッティングで、ボリュームを絞ってバッキングでウッディーで温かみがありつつ軽やかで、ボリューム全開で僅かに歪みながらクリアにスコーンと抜けてくれます。かなり良い。

HBの感想

 SCの成功に気を良くしてHBを追加購入し、Suhr SSHリアハム用オイルコンデンサを外してHBを取り付けました。SCを取り付けた際は「おや?変わったぞ」ぐらいのインパクトがありましたが、HBはそこまでの変化を感じず、録音しておいたデータを聴き比べても差は少な目。オイルコンデンサ―に比較的近い特性を持っていたのかもしれません。

 じっくり聴くと、オイルコンデンサ―搭載時には若干見通しの悪い、モヤっとし感じ(それでもSuhr SSHが優秀で、世間の平均値からすれば、すっきりしたサウンド)が更に整理されて、明るく、明瞭に、ピークが僅かに高音側にシフトしたように感じます。このシフトの具合が絶妙で、行き過ぎでキンキンしたりせず、すっきりと効きやすいバランスとしている点が良いですね。

SCとHBの両方を取り付けた感想

 いずれも、反応が良くなり、解像度が上がったような感触があり、弾いていて楽しさもありつつ、手強さも上がったように思います。マグネットコーティングかな?

 このギターのサウンドを(個人趣味にしては)多くの人に聴いてもらっています。耳の肥えた友人と自宅で遊んだ際、友人との個人的なスタジオ練習会、友人のコミュニティーのセッション練習会への参加などです。「こんなにプリっとしたサウンドでしたっけ?」「綺麗な音」「抜けてくる音」「すごく良い音」「モダンな音」「使いやすそう」などコメントをもらいました。

 また、SCとHB共に、トーンを絞ってもモコモコになりすぎず、適度に「残る」感じが好みです。

 自分は、このSAITO S-622CSの音作りに悩んでカスタムを始めたので、その集大成的な感覚で嬉しく思っています。

Ovaltone Nue Device 「SC」と「HB」をお勧めするか?

 とあるイベントでOvaltoneのお二方にお会いした際に、「ピックアップの性能を引き出すパーツと考えている」とおっしゃっていました。その感覚は共感するものの、もう少しサウンドの変化効果が大きいと考えています。

 少なくともSCとHBは、音抜けが良くて整う感触があり、モダンな方向に変化すると思っています。そのため、ヴィンテージ系のサウンドに突き詰めたい場合には合わないのではないか?と感じています。また、変化が大きいため、どのように変えたいか?を明確に持っていないと、SCをAldrichに組み合わせて「ちょっと違う」となったようにアンマッチになる可能性があります。

 ハードルが高いことを言いますが、自分のギターを持って行って、オーバルトーンさんに相談しながら決めるとか、Nue Deviceを熟知した店員さんを探して、狙いを定めた方が良いと思います。あるいは、自分で交換できるようになって、数種類は失敗しても良い!ぐらいの意気込みでトライすることが必要だと思っています。この観点で、SCとHBはそれぞれシングルコイルとハムバッカーにまんべんなくマッチしそうな特性で、ここからスタートするのも良さそうです。

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