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トレモロのスプリング鳴きを抑えるFU-Tone Heavy Duty Silent Springの効果

私のヤマハ パシフィカ PAC611VFMは、ブリッジミュート時に「ギョーーン!!」という盛大なスプリング鳴き(残響音とか共鳴音)が出るようになってしまいました。ノイズに寛容な私でも看過できないレベルの音量で、ハイゲイン設定だとプレイに支障が出るほどです。

そこで、FU-Tone Heavy Duty Silent Springというコーティングを施すことでノイズを低減しているスプリングを購入して取り付けました。その効果は良好で、「ギョーーン!!」という盛大なスプリング鳴きは抑えられました。ただし、完全にスプリング鳴りが消えたわけではなく、普通のストラト程度には鳴るといったレベルです。

スプリング鳴きを抑えるためにFU-Tone Heavy Duty Silent Springを購入

 ヤマハ パシフィカ PAC611VFMは「後藤ひとり仕様」として、P90カバー変更、ピックガード変更、リアハムエスカッション変更を行っています。それ以外の改造は行っておらず、ブリッジ周りの再調整を行った程度です。

 思うところあって、ダダリオの11-50の弦を張ってブリッジミュートをしたところ「ギョーーン!!」という盛大なスプリング鳴き(残響・共振音)が発生することに気が付きました。一度、10-46に戻したりしましたが、改善せず(多少小さくなる=最初はちょっと変だな?ぐらいに思っていた)、対策が必要だなと考えていました。

 この音がスプリング鳴きであるということを判断した理由は、「ギョーーン!!」という共鳴音が出ているときにブリッジを触ったり、バネを直接触ったりしたところ、バネの共振音だと考えたわけです。バネの共振を止めるならば、スポンジを入れたり、バネの中にゴムチューブを入れるのが定番ですが、サウンドからバネのリバーブ感が無くなるかもなぁと思っていたところに、この商品を知って購入してみました。

スプリング鳴き=バネの共振の原理について

 バネの共振は物理で説明ができます。共振現象はかなり繊細な部分と、何をやっても変わらない部分があります。個人的に仕事でだいぶ泣かされました。私のパシフィカではたまたま「そういうバランスだった」ということであり、すべての個体がそうとは限りません。

 さて、バネはハンガーを介して壁に結び付けられており、ブリッジのイナーシャブロックという質量物体が存在して、それが弦の張力で引っ張られています。共振の周波数はバネとイナーシャの質量によって決まります。弦の張力が変わっても、バネの取り付け状態の伸び量を変えても、共振周波数は変わりません。ここは結構重要です。

 すると、弦のゲージを変えたり、フローティング量を変えたりしても「ギョーーン!!」は変わりません。イナーシャブロックを変更すれば変わる可能性が非常に高いですが、部品の選択肢が少ないし、加工が必要だったり、高価だったりするので現実的ではない。

 バネの強さを変更すれば変わる可能性が非常に高いのですが、弦の太さが大体同じなら、弦がバネを引っ張る力もだいたい同じなので、バネの強さもだいたい同じになります。すると、多少変わっても共振の振動数の変化は小さい可能性があります(=音程は変わるけど、音は聞こえる)。というか、手持ちの物に替えてみたけど思ったほど変化しませんでした。

 ESPのトレモロ トーン スプリング Type1は良いスプリングで、バネレートが純正よりも低めで、ミッドが良く出ます。PAC611VFMに取り付けたところ、「ギョーーン!!」の鳴り方は変わったものの出ており、Type1スプリング特有のリバーブ感が付与されて賑やかになりました。これは相性が最悪だ。

 というわけで、バネの振動自体にブレーキを発生させてやる必要があったわけです。

FU-Tone Silent Springのバネの強さの選び方

 FU-ToneのHeavy Duty Silent Springは「Heavy Dutyランクのバネの強さのSilent Spring」という意味で、バネの強さがいくつか設定されています。柔らかい方から……
・Light Duty
・Regular Tension
・Heavy Duty
・Super Heavy Duty
となっています。どれを選ぶべきか?が問題です。
※なお、すべて3本セットです。

 ミディアムスケール+ダダリオ11-50半音下げ+フローティング=Heavy Dutyでジャストか、もう少し強くても良いと感じました。レギュラーチューニングも十分に対応可能です。取り付け方法は3本使用でハの字がけです。10-46 レギュラーチューニングでも、スプリングハンガー調整や取り付け方法調整でマッチします。

 Regular Tensionは、ロングスケール+09-42以下+フローティングの組み合わせよりもテンションが低い場合になりそうです。ロングスケール+10-46ならばHeavy Dutyを選ぶのが良いと思います。出費はかさみますが、Regular TensionとHeavy Dutyを買っておいて、2種類を混ぜながら使えば、かなり幅広く対応できると思われます。

FU-Tone Heavy Duty Silent Springのレビュー

 FU-Tone Heavy Duty Silent Springは、柔軟性のある樹脂(なのか、厚めに吹いた塗料なのか)によってバネの微小な振動にブレーキをかける機能を持たせた商品です。元々は、激しくアーミングした際にバネの取り付け部分とかで少し動いて、それが起振源となって「ギーーン」と鳴るのを予防することをコンセプトにしています。

 起振源が異なるものの、バネの中で振動して発生する音を抑えるということで、今回の目的にマッチすると考えました。というわけで取り付けです。

 トレモロユニットは、スプリングハンガーでアースを取って、スプリングを介してイナーシャブロック、ブリッジ、弦のアースを撮っています。樹脂を塗装しているので導通が取れなくなりそうなものですが、各部品と接触する部分の塗装を剝がしてあって、導通が取れるようになっています。取り付け前に十分に処理がされているか見ておく方が良いでしょう。私の個体は問題なく、導通も取れていました。

 取り付けて一発弾いてみると、「ギョーーン!!」という盛大なスプリング鳴きは収まりました。一方、普通のトレモロでありがちな「フオーン」という小さめの共鳴音は残っています。個人的には、この共鳴音やリバーブ感は残しておきたかったので、交換は大成功です。

 バネの強さは、ウィルキンソン(ゴトー生産品)の純正バネよりも僅かに柔らかい印象で、純正3本からHeavy Duty3本に交換しましたが、スプリングハンガーを少し締めこんでやる必要がありました。トレモロの動きも良好です。

FU-Tone Silent Springはスプリング鳴きを抑える効果がありました!

 今回、FU-Tone Silent Springによって「ギョーーン!!」という盛大なスプリング鳴きを抑えることができました。成功です。一方で、トレモロ特有のバネ由来のリバーブ感は残りました。私は好ましいと感じましたが、これが好みでない人は別の方法を試す必要があると思われます。

 バネにしては結構高価ですが、ギター部品の中では安価な部類ですから、スプリング鳴きに悩んでいる人は試してみる価値があると思います。

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