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Thorpy FX The FAT GENERAL V2 (OPTタイプコンプレッサー)レビュー

イギリスのブランドであるThorphy FXの光学(OPT)式コンプレッサーであるThe FAT GENERALを購入しました。ジュリアン・ラージがピート・コーニッシュのOPTコンプのOC-1を使用しているのですが、これが全く手に入らず、色々と調べて「同じではないけど、方向性は今ある選択肢の中で近いはず」と考えて購入しました。似ているかどうかは判断できませんが、独特のスムースさとナチュラルなサウンドで、非常に心地よいです。

光学式コンプレッサーのThorpy FX The FAT GENERAL V2 レビュー

Thorpy FXについて

 Thorpy FXはイギリスのブランドで、創業者は元イギリス陸軍の爆発物処理担当将校のエイドリアン・ソープだそうです。軍でのキャリアを終えた後、趣味でペダルを作っていたところ、家族の勧めで製品化したようです。

 特徴は、軍用グレードのパーツとタンクのようなビルドクオリティーと呼ばれている点です。ステンレスプレートを曲げて作ったオリジナル筐体は頑丈で、力をかけても歪む感じが無いです。

 歪み系の人気が高く、アンプのような荒々しくて有機的で反応の良いサウンドが高評価を集めています。日本では宮地楽器さんが輸入していて、知名度はほとんどありませんが、イギリスでは結構知られているようで、取扱店も多いらしい。

Thorpy FX The FAT GENERAL V2とは

 The FAT GENERAL V2は、光学(OPT)式のコンプレッサーです。今回購入した理由は、ジュリアン・ラージがOPT式のPete Cornish OC-1コンプを使用しており、それが手に入らないので、代替となる物を探していたということになります。

 ベースとなっているのは、Dinosaural の光学コンプ OTC-201 Opticompressorです。Dinosauralとは、Lovetone の共同創業者 Dan Coggins が Lovetone 解散後に立ち上げたブランドであり、OTC-201は非常にレアで評価の高いコンプレッサーです。LovetoneやDinosauralは、マニアックなアナログモジューレーションで伝説を作ったブランドだそうで、そういう意味で注目度が高いのと、OTC-201はフラットな周波数特性や、ナチュラルで滑らかなコンプレッションが効きつつ、ニュアンスも出るということが高評価だったようです。

 The FAT GENERALは Dan Cogginsとの共同開発となっており、オマージュというよりも、OTC-201の後継機と言った方が良いかもしれません。

あっさりから、しっかりまで調整しやすいコンプレッサー

 1万円出せばそこそこのものが買えるのに、5万円を超えるモデルも存在し、それぞれの効果が初心者にはよく分からないというのがコンプレッサーという世界です(苦笑)。自分は、ほとんど良く分かっていないところから、超高級コンプのBondi Effects Squish As Compを購入し、その効果を痛感した次第です。

 コンプレッサーは2つの方向性があって、商品説明にほぼ間違いなく書いてあります。

しっかりとキャラがある系
・OTA式:ダイナコンプ。ぎゅっと潰れて少しモコっとする。
・光学式:オプト式。柔らかくマイルド。比較的ナチュラル。
・真空管:暖かく、柔らかい。軽く歪みを伴うらしい。
キャラが少なくて精密系
・VCA式:Squish As。アタックやリリースなどのパラメータを調整しやすい。
・FET式:UA1176やOrigin Cali76。超高速で精密。

 キャラのある前者は、初段に近いところでギターの生音にかけるのが一般的で、後者は初段でも最終段でも(マスタリングをするように)使うことが可能です。

 FAT GENERALの光学(OPT)式はどちらに分類するか悩ましいキャラクターを持っており、人によってはキャラが少ないと評価することもあるかと。ただし、コンプを効かせると、特徴的な柔らかさが出てきます。

 さて、OPT式の中でもFAT GENERALはフラットでナチュラルで、味控えめでニュアンスが出るキャラクターとなっています。しっかりと効かせれば、光学式特有のマイルドでシルキーなところがしっかりと出ます。

Thorpy FX The FAT GENERAL V2の操作系について

 The FAT GENERAL V2の操作系を説明する前に、The FAT GENERAL V2の最大の特徴を説明する必要があります。その特徴とは、元の音(生音)とコンプをかけた音をミックスする『パラレルコンプ』を行うものとなっています。これがちょっと珍しい。

 それを踏まえて、The FAT GENERAL V2のノブを説明します。3ノブ構成で
・TREBLE
・SUSTAIN
・BALANCE
 となっています。

 TREBLEはコンプをかけることで失われる高音域を補ってナチュラルさを生み出します。SUSTAINはコンプの効き具合で上げると音量も上がります。BALANCEはスイッチ設定によって挙動が変わります。

 左下のスイッチは、「ブレンド」と「ジューシー」の切り替えです。「ブレンド」に設定状態で、バランス絞り切りで、ほぼ生音。上げてゆくとコンプのかかったサウンドが増してゆきます。文字通りバランスが変わってゆくらしいですが、体感上はコンプサウンドが足されてゆく感じで音量が上がります。

 「ジューシー」設定では、コンプ90%+ドライ10%という固定バランスになり、バランスノブが音量調整となります。

Thorpy FX The FAT GENERAL V2のサウンドレビュー

 FAT GENERALをジュリアン・ラージサウンドを狙って購入したので、テレキャスのフロントやP90の載ったギターを想定して説明します。

 最初に、FAT GENERALのTREBLEを12時、SUSTAINとBALANCEを絞り切りで、極力効かせないようにセットしてオンオフすると、サウンドの差が小さく、フラットです。BALANCEを上げても変化は小さいです。ただ、ミッドからハイミッドが僅かに持ち上がるのか、ちょっと綺麗になります。ただまぁ、変わらないと考えるのが良いでしょう。

 FAT GENERALのSUSTAINを9~11時(PU出力によって調整)、BALANCEを9~12時ぐらいで設定すると、コードを弾くと軽く丸くなり、短音弾きが持ち上がってバランスが良くなります。アルペジオでも音の粒が揃います。コンプってそういうものなのですが、潰れ方がマイルドで「コンプ感」がありながら柔らかくて自然です。これが結構不思議。トランスペアレントなSquish Asだと「なんだかよく分からないが整ってる。」感じに対して、FAT GENERALは「コンプ効いてるな。でも嫌じゃないな。」という効き方をしてくれます。

 SUSTAINを上げてゆくと、結構早い段階で「ポクン」と明らかなコンプ感が出てきます。ここまで効かせるならダイナコンプとかで良い気がする(同じではないけど)ので、OPT式らしさを楽しむのであれば、軽く効かせるのが良いと思います。強めに効いた状態でTREBLEを上げると、カリンカリンなトレブルブースト感が出てきます。

 BLEND設定だとSUSTAINとBALANCEの両方が音量に関係してきて、精密な音量調整が難しい(出たなりで良ければOK。特別な使いにくさは無いです)ので、ジューシーにしてBALANCEを音量調整とするのも良いです。ただ、こうなるとウェット信号とドライ信号の割合が固定になるため、FAT GENERALのパラレルコンプの良さが出にくいです。

Thorpy FX The FAT GENERAL V2を使ってみて

 ある程度設定して弾いて見て、私の感想は「ジュリアンサウンドの要って実は光学式コンプじゃね?」と思いました。というのも、ピッキングのアタックに対して丸さや優しさがありながら、ニュアンスがしっかり出て、芯のあるというところが、FAT GENERALを通すと出てくるのです。ただしこれは…

ジュリアン・ラージの場合

・ピッキングのコントロールの上手さが尋常ではない
・アンプの反応性が良い
・そこにOC-1(コンプ)が軽く補助
・録音後のマスタリングが良い

自分の場合

・ピッキングのコントロールが甘い
・アンプはそこそこだが同じものではない
・アンプの出音そのまま
・FAT GENERALをやや強めに効かせめ

ということで、ちょっと違うところがありつつ、私の腕の無さやマスタリングが無い点をFAT GENERALがまとめてくれている、ということではないか?と思います。

 また、アンプ側のトレブルを下げたりトーンを絞ると、歪みの質も丸くなってしまうのですが、ジュリアン・ラージの場合は歪んだ時は「パリッ」とした歪みの質で、これがどうにも再現できなかった。ギターのトーンを音を似せようと絞ると、プレイ全体がモヤっとするので、これも違う。

 ここで、FAT GENERALのTREBLEを絞り気味にして、アンプを気持ち丸い音が出る程度の設定とすると、全体的にまろやかななサウンドになりつつ、歪んだ時に「パリッ」と感が出てくれる。これがほんとうに、それっぽいのです。

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