コーラスの中でも「揺れないコーラス」=『ディメンションコーラス』として知られるBOSS DC-2Wを購入したのでレビューします。煌びやかで立体感のあるサウンドが特徴で、クリーンでもドライブサウンドでも気持ちの良いコーラスサウンドが楽しめます。コーラスの効き具合を微調整して隠し味に使うようなことはできませんが、オリジナリティーのあるサウンドを出してくれることから、モジュレーションエフェクター好きは1台持っておいて損はないと思います。

BOSS DC-2Wを購入したきっかけ
私は家でジャズコーラスの末弟であるRoland JC-22を使用しています。その名の通りコーラスが装備されており、基本的には2基のスピーカーによるBOSS CE-2に準じたコーラスサウンドを楽しむことができます。
CE-2(W)はコーラスの名機ですし、一般的な1chで原音とコーラスを混ぜて鳴らすよりも、ジャズコーラスの2基のスピーカーで原音とコーラスサウンドを別々に出して空間で混ぜる方が濁りの無い立体感のあるサウンドが得られるとされており、JC-22は他では得難い高品質なコーラスサウンドとなっています。そういう背景もあって、また、自分がコーラスそのものに重きを置いていないので「コーラスが欲しければアンプで」と考えていました。
しかし、色々とサウンドメイクをして楽しんでいると良くも出てきて「ハードディストーションにコーラスという80年代ハードロックをやりたいな」とか考えて、コーラスが欲しくなりました。
調べてゆく中で、DC-2Wは「揺れないコーラス」として知られるDC-2のサウンドを継承しており、オリジナリティーがあって替えが効きにくく、これが気に入れば買い替えることも買い増すこともないだろうと考えて購入してみました。
BOSS DC-2Wについて
先に書いた通り、DC-2Wは「揺れないコーラス」です。名機「DC-2」と、これまた名機の「SDD-320」のサウンドを再現しつつ、バッファー部の見直しでバイパスサウンドが良くなっていることや、かつては裏技的だった「同時押し操作」が拡張されているのが特徴です。
このあたりの詳しい解説は、こちらのサイトを読むことをお勧めします。超詳しい。
BOSS DC-2Wのレビュー
JC-22やCE-2W、その他一般的なコーラスは「ファンファンファンファン」というトレモロのような「揺れ」があります。これはこれで気持ちの良いものであります。一方で、ハードディストーションに重ねると味が濃すぎるという感触もありました。
これに対してDC-2Wは、揺れないことで全体的にすっきりとしたサウンドで、余計な癖が無く、純粋なコーラス(と言ってよいのだろうか)が飛び出します。DC-2Wに触れると、一般的な揺れるコーラスの方が飛び道具感があるように思ってしまいます。
クリーンサウンドに組み合わせて、素直で澄んだコーラスは素晴らしく、ハードディストーションと絡めたサウンドでは伸びが良く、ソロフレーズの邪魔をせずに厚みや豪華さを加えてくれます。これに深めにかけたリバーブやディレイなんかを合わせれば、もう、本当にハードロックサウンドです。
モード選択について
元となったDC-2やSDD-320は、モード切替のボタンを上手く同時押し状態にすることで、標準のサウンドセットと異なる「裏技」があることが知られていました。DC-2Wではこの裏技を「公式」に格上げしています。
DC-2Wではオリジナルの機械的なスイッチではなくて、押したことを検知する電子式のスイッチに変更されています。それぞれをカチッと押すと対応したモードが選択されます。この時、2つのボタンを同時に押すと同時押しモードとなります。
オリジナルでは特定の組み合わせしか特別なサウンドとならなかったようですが、DC-2Wでは機能が拡張され、どの組み合わせでもサウンドが変化するようになっています。
いずれのモードであってもDC-2の揺れないコーラスサウンドで、しっかりはっきりと明確にコーラス音が加わります。モードを切り替えるとサウンドが変わることは分かるのですが「ここがこう変わる!!」と明確には言いにくい違いで「でも確かに変わる…」という感触です。基本的には1→2→3と強くなり、4あるいは4と1~3の同時押しで弱まるような仕組みのようです。
モード切替しかなく、いずれもはっきりとDC-2Wのサウンドとなるため、軽く味付け程度にコーラスをかけるというようなことはできません。
DC-2Wを使っての感想
煌びやかですっきりとしており、澄んだコーラスサウンドは、さすがに名機の系譜という印象です。自分は歪ませたサウンドに合せることを想定しており、その用途で大変満足のゆく仕上がりです。
クリーンサウンドに組み合わせることも魅力的で、特にSDD-320モードにした際の煌びやかさが際立ちます。ハーフトーンで軽くバッキングをするだけでも楽しいですね。