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Big Muff Reissue チキンノブとFrantone eraの比較レビュー

ジョン・フルシアンテが使っていたとされるBig Muff Reissue(チキンノブ期 EC3003)と、Frantone era(フラントーン・エラ)と呼ばれるEC3003-Aの比較レビューです。この2つは回路は基本的に同じで、配線・部品配置の最適化とEC3003-Aでトゥルーバイパス化されたとされていて、音は近いとされていますが、実際のところはどうなのか?というレビューです。結論を述べると、違うといえば違うが、同じと感じる人も多いという感想で、基本的な回路よりもトゥルーバイパスか否かの差が大きいことが分かりました。

Big Muff Reissue チキンノブとフラントーン・エラの比較レビュー

時期によって異なるBig Muff Reissue(3rd Reissue)

 Big Muffは時期によって音が全く違うというのは皆さんご存じかと思いますが(偏った思想)、同じに見えるBig Muff Reissueにおいても複数のマイナーチェンジがあります。憧れのギタリストが特定の時期のモデルを使用していると、それの人気が出ることはよくあることで、チキンノブがついたBig Muff Reissueはジョン・フルシアンテが使っていたということで人気のモデルとなっています。

Big Muff Reissue (3rd Reissue)の中のチキンノブ期とフラントーン・エラについて

 3rdのリイシューとされている現行のBig Muff Piは2000年発売で、チキンヘッドと呼ばれる突起がノブが用いられました。基板はEC3003。その後、現在のホッケーパック型に改められます。ホッケーパック型のものに変更された頃にEC3003-A基板となっています。

 EC3003を設計したのは1999年から2000年にかけてエレハモに所属していたFran Blancheです。Fran BlancheはFrantoneというブランドを主催しているため、初期のEC3003系の基板はFrantone eraと呼ばれています。

 Fran Blancheの設計そのままなのがEC3003=チキンヘッドであり、EC3003の部品配置だけを変更(2001年 おそらく量産直前に追加されたコンデンサが基板に載っていなかったのを修正)したものがEC3003-Aです。そして2007年頃に改訂されたEC3003-B以降は音の関わる部分の変更を受けており、しかもFran Blancheは在籍していません。

 というわけで、EC3003とEC3003-Aがフラン ブランシェ直系となります。基板目線ではEC3003とEC3003-AがFrantone eraと呼べると言えますが、EC3003はチキンノブという分かりやすい特徴があり、ジョン・フルシアンテが使っていたことで特別に「チキンノブ(期)」と呼ばれることが多いです。この記事では比較のためにも、EC3003-Aのことをフラントーン・エラと呼ぶことにします。

チキンノブ期(EC3003)とフラントーン・エラ(EC3003-A)の違い

 先に書いた通り、チキンノブ期(EC3003)とフラントーン・エラ(EC3003-A)は回路的にはほぼ同等とされています。また、EC3003はMXRで言うところのミレミアムバイパスっぽい回路で、EC3003-Aはトゥルーバイパスとなっています。

 ということで、音に違いを生む可能性がある部分としては、部品配置の変更に伴う回路パターンの変更と、部品(銘柄)のわずかな違い、バイパス部の構造と配線であり、あとはトランジスタや抵抗、コンデンサ、POTの個体差が影響すると考えられます。

ちょっと待て!バイパス部の影響がかなり大きいぞ!

チキンノブ期(EC3003)とフラントーン・エラ(EC3003-A)の音の比較

 比較に際して、2024年末時点で最新と思われるEC-3003 REV.Fも併せて比較しました。

 接続は、ギター→現行→フラントーン・エラ→チキンノブです。本当はスイッチングするべきでしたが、手持ちに無かったので直結になっています。

 色々試してみると「なんか全部似たような音だ…」となりました。「現行とフラントーン・エラを比較した時に結構違ったのに!」と感じました。これはおかしいと考えてチキンノブを外して比較すると、ちゃんと違いがある。いろいろと試すとチキンノブのバイパス部の影響が大きいことが分かりました。チキンノブのバイパス部を通ると低音が減って、高音域が少し丸くなり、解像度が落ちます。大きめの入力を入れると潰れる感じもあります。

チキンノブ期(EC3003)とフラントーン・エラ(EC3003-A)の音の比較

 気を取り直して、付け替えたりしながら比較します。大雑把に言ってしまうと、いずれもBig Muff Piのサウンドで、全く違うとまでは言えないと感じました。しかし、オタク的には違いを感じます。

 チキンノブとフラントーン・エラは近い傾向があります。チキンノブの方が僅かに高音域の鋭さや粗っぽさがあって、ファズっぽさが強いです。REV.Fに比べて、いずれも低音域が少しすっきりした印象で、中音域から高音にかけての繋がりが良い印象です。言い換えるとREV.Fは中音域のどこかに谷があるのか、クセを感じます。

 REV.Fの中低音域の強さと高音域の元気の良さで、REV.Fに凶暴さがあるとも言えますし、チキンノブとフラントーン・エラがちょっとすっきりして鋭さのある高音域で、こちらの方が凶暴とも言えなくもないです。何度も弾き比べてるうちに分からなくなってきました…。

チキンノブの音は他で代替が効くのか?

 チキンノブ期が欲しいけどプレ値になってるし、持ってる人も持ち出すのが躊躇われるという場合を考えて、チキンノブ期以外で代替できるか?を考えます。

 フラントーン・エラはトゥルーバイパスで、チキンノブの音が(悪い方向に)変わってしまうことを考えると、一般的にはフラントーン・エラの方がお勧めしやすいです。フラントーン・エラの代わりにREV.Fが使えるか?ですが、それなりに違うけど似た音が出るとギリギリ言えるかなぁという感想です。

 さて、EC3003-AからB以降にマイナーチェンジする際に、より丸い、むわっとしたサウンドに変更を受けています。そして、REV.F(もしかしたらもう少し前から?)あたりから鋭く力強く変更されています。よって、EC3003-B以降だと結構違うので代替できないけど、少なくともREV.Fはチキンノブやフラントーン・エラに近づいている(先祖返りしている)と感じています。

 さて、ジョン・フルシアンテはBig Muffの前にDS-2を置いてプッシュしているそうなので、Big Muff自体の音の差よりも前段の方の影響の方が大きいのではないか?と感じています。ジョン・フルシアンテサウンドを狙いたくて、チキンノブ期のサウンドに可能な限り近づけたいとすると、Big Muffの後段に音がしょぼくなるバッファか何かを配置することで近づけられるかもしれません。

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