CULTのディストーションペダル「Tempest」を購入したのでレビューします。最初に申し上げると、Tempestは扱いが難しいペダルで、ボリュームを相当に上げないとTempestの良さが際立ってきません。

CULT「Tempest」の特徴
Tempestはプレキシマーシャルの中でも良く歪むとされる後期の回路をエフェクターに落とし込んだモデルです。ジャンルとしてはディストーションとなります。ただ、触った感触としてはほとんど「アンプ」の質感です。このあたりが本作を理解するポイントとなるでしょう。
実際に、CULTの細川氏はTempestのことを「アンプスケールなペダル」と評しています。
Tempestがアンプスケールな理由
まず、Tempestは結構扱いが難しいエフェクターです。ボリュームが小さいとモヤっとしていて、キレが出にくく、レスポンスもそれなりです。とはいえポテンシャルの高さも感じ取れます。
本領を発揮するのはボリュームを12時以上にした場合で、キレが出て、レスポンスの速さを感じ、迫ってくるようなサウンドに変化します。ピッキングニュアンスもぐっと出るようになって、「飛んでくるような、迫ってくるような」サウンドになってきます。ただし、かなりの爆音です。
ゲインは12時ぐらいまでが実際の「良く歪むプレキシマーシャル」レベルであり、それ以上はエフェクターとしてのオプションやキャラ付けとなっているようです。12時ぐらいの領域では強烈に歪みつつ、音が潰れすぎず、レスポンスの良さが際立ちます。
ゲイン9時以下ぐらいですと、どこか歪み切らず、ぼそぼそとした質感です。これはまぁこれで、アンプとして考えるならば「それらしい」のですが、エフェクターとして考えるとちょっと使いづらいと感じます。このあたりもアンプらしい特性と言えるでしょう。
サウンドの傾向
全般的にミッドが強く、ミッドが強すぎるPUと組み合わせるとボーボーと飽和しがちです。アンプ側のボリュームやインプットでの飽和など気を使う必要がありますが、Tempestのボリュームを全開近くに、ゲインは12時ぐらいまででお好みで、Presenceを高めに設定し、アンプのEQのHIGHを高く設定するのが好みです。
このようにすることで、ギターのボリュームを絞ったり弱く弾くと、プレーン弦のパリーンという弾ける質感と鋭さ、そして立体感が強調されます。これは相当アンプっぽい。強く弾くとザラザラビリビリと歪み始めます。言葉で書くとブルースブレイカー系の歪に似ているように思われますが、それよりも不規則性があり、クリーンサウンドが残っているのに歪んでいる質感になります。
ギターボリュームを上げると強烈に歪み始めて、でも音に芯がある質感はまさに「アンプライク」。PresenceやDepthは音の補正といった役割で、積極的に音色を変えるような働きはしません。
前段にTS系などを置くのも気持ちが良い
前段にTS系を置くなどすると、良いアンプに直結した時のような立体感はすこし落ち着き、歪みの質はスムーズになりながら、良いアンプにTS系を突っ込んだ時のような飽和感とドライブ感が得られます。アンプスケールな感じが抑えられるので扱いやすさが生まれ、Tepmestでなければならない感覚は薄まるものの、それでもTempestの良さが残っているように思います。
ただまぁ、単純にめちゃくちゃ気持ちが良いのでオススメです。
