長年の定番商品であったAC BoosterがアップデートしてV2となりました。V2になってBoostスイッチが追加されて、さらなるゲインが得られるようになり、側面にキャラクターが変わるスイッチも追加されて16通りのセッティングができるようになりました。サウンドキャラクター、設定の豊富さからかなり便利で、ひとつ持っておくと心強い1台であると感じて購入しました。

Xotic AC Booster V2を購入したきっかけ
最近、セッション遊びをよくやるようになり、友人経由で「セッション練習会」にも参加するようになりました。この練習会はネオソウル系を楽しむグループが主催していることもあって、クリーンからクランチ程度で演奏するスタイルです。
この練習会では、ちょっと実践的な要素を取り入れていて「パッと前に出て、すぐに演奏できるように機材は最小限」という練習も含んでおり、「とりあえずエフェクターは1つ、とするなら何が良いだろうか?」というのが最近の私の課題でした。
好みの音色のODは色々と持っている(BondiのDel mar mk2や、EMD PD-1)のですが、もう少しゲインが欲しかったり、スイッチ切り替えによるブーストなどの便利機能が欲しくなっていました。そこで白羽の矢が立ったのがXoticのAC Booster V2でした。
Xotic AC Booster V2の基本
この記事を読みに来た方は、V2化されたことによる大まかなアップデートは理解されていると思います。ですので、そのあたりは軽く触れながら。
AC Booster V2は、往年の名作であるAC Boosterにフットスイッチを1つ追加し、ブーストを載せたことが大きな特徴となっています。さらに、側面にDIPスイッチが追加され、これによって基本キャラクターやコンプレッション感、帯域のバランスを変更可能となっています。
最も大きな特徴は、やはりブーストです。AC Boosterは昔は「ブースターと言う割に歪む」と言われていた機種で、ローゲインなオーバードライブというキャラクターでした。V1がブースターっぽいなと思うのは、ゲインを上げても歪み切らない、潰れきれない感じがあり、どこか芯が残るサウンドが「ブースターっぽい」質感でした。この芯の残る感じがXoticらしいとも現在でも言われていますね。
これに対して、V2となった今作では、ゲインを上げ目でブースター設定を強めにして、ブースターをオンにすると、しっかりとコンプレッションが効いて、クリーミーで芯まで歪んだサウンドとなってくれます。これが、Xoticの他のモデルに対しての特徴でもあり、便利なポイントでもあります。
Xotic AC Booster V2のサウンドレビュー
AC Booster V2の便利さの正体とは
操作系は、Xotic伝統のBASS、TREBLEの2バンドEQと、ゲイン、ボリュームです。この2バンドEQが良く効いてくれて便利です。XoticのAC Booster、RC Boosterの発売は2002年らしいのですが、この頃や、その後に日本で売れ始めた頃に、2バンドEQのODやブースターはまだ珍しい存在で、凄腕ギタリストが愛用しているXoticの各ペダルはアイコニックな存在でした。
2バンドEQペダルが増えたなかでも、AC Booster V2のEQのセッティングはやはり上手く、カットにもブーストにも良く効いて、TREBLEは「キラッと鋭い成分は持ち上がるが、耳に痛い高音は抑えめ」であるし、BASSは「比較的高めのローからローミッドが持ち上がって、パンチが出る」設定で、味付けが上手いです。ここはやっぱり便利です。

先にも書いた通り、ブーストオフ状態で芯が残りつつ、軽く(という割にはけっこう歪むけど)オーバードライブしてくれるので、少し歪ませた真空管アンプをプッシュしてくれて、歪み感をコントロールできます。便利。
そして、ブーストをオンにすると、RC BoosterやAC Booster、BB Preampでは到達できなかった「しっかりと歪み切った、飽和したサウンド」まで持ってゆくことができ、JC-120のようなトランジスタアンプでも飽和感のあるサウンドが出せるようになりました。AC Booster V2は便利です!!
AC Booster V2のサウンドレビュー
AC Booster V2の基本となるサウンドは、基本的にミッドが前に出たオーバードライブです。BASSはローと言うよりもローミッドを操作する感じで、持ち上げると太さは出ますが、重く、ごちゃっとしがちなローは抑えられています。ブーストや側面のスイッチを操作しても、この特徴は維持されます。
低いローが抑えめのため、1人で弾いていると、例えばローがしっかりと出るVemuram Butter Machineなんかと比べると物足りなさを感じたりしますが、アンサンブルではAC Booster V2の方が抜けてくる音を作りやすいと思います。(Butter Machineは分かっている人が使ってねって感じ。)
TREBLEは、耳に痛い成分が出るか出ないかのギリギリぐらいを操作しており、持ち上がってくる量は多いけど「すぐにギンギンになる」というのが控えめ。でも上げ過ぎるとジャリジャリするので注意。ミッドが強めなので、BASSとTREBLEを上げてもミッドスクープなザクザクサウンドにはなりません。
先にも書きましたが、ブーストオフでは歪み切らず、芯のあるブルージーなサウンドに留まります。真空管アンプをプッシュした際に、この芯が残っていることでアンプの歪と絡みやすくなり、芯があって飽和感のあるサウンドを出しやすいです。ゲインは12時以降はあまり上がってゆかない感じ。
さて、V2となって特徴的なブーストをオンにすると、音量とゲイン、ハイミッドがぐっと持ち上がります。音量がしっかりと上がるのが特徴で、これもアンサンブルでソロを取る時に音量が上がってくれて便利だと思います。ゲインそこそこでブーストもそこそこ(共に12時ぐらい)にして、芯まで歪んだリードサウンドとなります。上手く設定すれば、ミッドが前に出た「歌うリード」を作りやすい。
ギター側ボリュームやピッキングニュアンスへの反応性が高くて便利
ブーストオフでも、ブーストオンでも、ゲインを上げた状態であっても、ギター側のボリュームを絞ることで歪み感がスッと収まってくれます。ゲイン設定にもよりますが、クリーンまで持ってゆくことができ、ミッドからハイミッドに寄ったバランスのため「チャリン」とした軽やかなサウンドになってくれます。(特にBOOST ONの時) これが便利。同様に、弱く弾いた際もゲインが落ち着き、ニュアンスが出やすいのが特徴です。
前段にブースターを配置した際の反応も良好。ゲイン高すぎ、ボリューム大きすぎは厳禁ですが、ちょっとボリュームが上がる程度のブースターなら、AC Booster側でちょっとゲインが上がって弾きやすくなったりします。
ボリュームやピッキングニュアンスに追従するペダルは昨今は増えていますが、どちらかというと「アンプライク」をテーマにするエフェクターであることが多いように思います。一方でAC Booster V2は、良い意味でエフェクタ―らしいサウンドのエフェクターで、分かりやすい歪みの質感が扱いやすく、その上でボリュームやピッキングに追従してくれて、「こういうので良いんだよ、こういうので」という安心感や便利さを持っています。
側面のスイッチは味付けが絶妙
側面のスイッチを操作すると「変わるのは分かるが、ちゃんとAC BoosterやXoticのサウンドが残ってくれる」という点が特徴で、味付けが絶妙です。変わるけど、変わりすぎない。詳しくは次の「セッティング例」で説明します。

セッティング例
色々と弄ってみた結果のおすすめセッティング例を紹介します。側面のスイッチだけでも2の4乗の16通りのセッティングがあるので、ここの設定が違うだけで、結構印象やレビュー内容が変わってしまいます。
基本は4.HI MID BOOSTはON推奨
HI MIDをONにすると、TREBLEノブが効く帯域の高い領域からもう少し上が持ち上がる印象です。私がONを推奨する理由は、ギターボリュームを絞ったときに、ストラトらしい「パリン」「チャリン」とした成分が出てきて非常に良いです。ゲイン高めで、テキサスブルース的なパキーンと感や、コードを掻き鳴らすジャキジャキサウンドを出しやすいです。ギラギラし過ぎになると思いきや、バランスが良くて、それほど心配する必要はありません。(高音が強いアンプの場合は除く)
後に書くように私はCOMPRESSION ONにして使っていて、ONにするとハイが少し収まる印象があります。ですのでCOMPRESSION OFFだとHI MID ONでギターやアンプによってはハイが強く出すぎるかもしれません。
3.LO MID BOOSTは環境や使い方で調整
LO MIDをONにすると、厚みは出るものの歪みの質感がぐしゃっとなりやすいので要注意です。元々AC Booster自体がミッドに寄ったODなので、LO MIDをONにすると潰れがち。COMPRESSIONもONにしていると過剰になりやすいです。
個人的にLO MIDをONにするとよいと感じたのは、ゲインを低めにして素朴なサウンドにまとめたいときと、前段にローがすっきりするブースターを配置した場合です。特にブースターを配置した場合は、ミッドやハイミッド、ゲインの感じは良好なのに、ローが軽く感じやすいので、LO MIDをオンで上手くまとまりやすいです。
2.CLASSICとMODERNはお好みで
CLASSICはAC Boosterらしいミッドが厚めのサウンドでハイは大人しくなる。MODERNはミッドを少し絞った感じ。ゲインも少し上がる。個人的にはAC BooterならCLASSICかなぁ。MODERNといってもモダンハイゲインにはなりません。MODERNなら、LO MIDとHI MIDは両方OFFの方が音をまとめやすいかも。

1.COMPRESSIONもお好みで
私はONにしています。というのも、ゲインを上げた時にスムースな歌うリードを作りやすいから。ONの状態でもボリュームペダルやニュアンスへの追従は十分です。
ONにするとハイが収まって鋭さが丸くなりますし、ローも潰れやすくなりますからちょっと注意。それと引き換えに弾きやすさが得られて、このあたりはトレードオフですね。
Boostスイッチの考え方は「Boost ONが標準でOFFもあるよ」
Boostスイッチ(フットスイッチ)をONにすると、ハイミッドがかなり持ち上がります。OFF状態でハイがカリッとしたすっきりしたサウンドにするとBoost ONでギラギラしすぎになります。TREBLEの効きも強いので、ほぼ12時設定。
ということで、メインのゲインは少し高め、Boost設定は抑えめ(10時ぐらい)で、Boost ONを標準にして、リードを取れたり、バッキングできたりするところから、ボリュームを絞ってパリンとカリンと、すっきりとしたサウンドにもなる状態で使っています。
ここから、Boost OFFにすると、ハイミッドが落ち着いて素朴なサウンドになります。ゲインちょっと高めなので、ほぼクリーンにするためにギターボリュームに絞るとJAZZとか、ネオソウル系のクリーンなバッキングに最適。
このように「Boost ONを基準に、OFFもあるよ」と考えた方が使いやすいと感じます。
まとめ:「便利なODで、1台持って出かけるのに最適」
便利です。これひとつでなんとかなる安心感があり、前段にブースターを置いても反応してくれます。ボリュームへの追従が素晴らしく、Boostスイッチによってキャラクターもガラッと変わります。十分なゲインも嬉しい。
少し気になるのは、Boostスイッチによってキャラが大きく変わるので「そこまで変わらなくても」と思う人もいるかも。店舗で試す際は、そのあたりに注目してください。
