自分がギターを買ったショップに置かれたヴィンテージのマーシャルJMP 2203から飛び出すサウンドに脳を焼かれ、それを再現するべくLPD Pedals JMP 79を購入しました。単体では思っていたよりもゲインが低くてあっさりとしていますが、歪みの鋭さやギターボリュームへの追従性は高いレベルにありました。そこで、後段に置くペダルを工夫したことでゲインを高め、厚みを出しつつ鋭さを維持し、最終的にヴィンテージマーシャルを弾く「夢を見れる」レベルのサウンドを得ることが出来ました。

LPD Pedals「JMP 79」とは何なのか?
JMP 79は、LPD PedalsのLawrence Petross本人が所有していた1979年製Marshall JMP 2203を基準に、サウンドだけではなくてレスポンスまでペダル化したモデルです。1979年製Marshall JMP 2203というのは、JMC800 2203の前身モデルにあたり、プリアンプのボリュームと、マスターボリュームが初めて着いたモデルとされています。
ちなみに、LPD Pedalsには、プレキシ系のSixty8、プレキシ系と初期のマスターボリューム付きモデル(=初期のJMP 2203)からインスピレーションを受けたSeventy4、MODされたプレキシやJCM800から着想を得たEighty7をリリースしており、年代的に見て、かなり細かくラインナップしています。
JMP 79と他のモデルの違いは、あるジャンルや時代のアンプから着想を得て作っているのに対して、JMP 79は本人所有のアンプを再現するアプローチです。たぶん、入魂の1台になっていると思います。
何故、LPD Pedals「JMP 79」に着目したのか?
私がGibson Custom Shop Les Paul Standardを購入したショップには、1976年製Marshall JMP 2203が置いてあり、それで試奏して衝撃を受けた(脳を焼かれた)という経験があります。バリバリとした雷のような歪みの質感、鋭いが厚みがあって説得力があり、ローはややルーズだが迫力があり、チャイムのようにカラーンと鳴るプレーン弦の質感や、ボリュームを絞ったときにクリーンになり、レスポールのボディーの鳴りが表現されるかのようなサウンドの変化……。とまぁ、そこで感動した訳です。
そこで、それを家で完全再現するのは無理だとしても、「弾いている夢を見れる環境」が欲しいと考えて、約3年ほど機材の探索を続けてきた訳でして、その行き着いた先がJMP 79(と後述するStrymon FAIRFAXの組み合わせ)でした。
LPD Pedals「JMP 79」のサウンドのレビュー
TREBLE、MIDDLE、BASSの3バンドEQとPRESENCEがあり、PREAMPとMASTERの2段構えのゲインとボリューム設定です。ここは完全にJMP 2203準拠。効き方は、実機は爆音で鳴らしている都合上、JMP 79との感じ方に差があって比較が難しいのですが、BASSとPRESECEの効きは実機より穏やかで、使いやすいレベルに抑えられているように思います。中央のスイッチはブライトCAPの容量を変化させるシミュレートだそうで、PREAMPを控えめにしないと差が出にくいです。

MIDDLEもハイミッドに効く印象で、TREBLE抑えめでMIDDLE持ち上げ、BASSもちょい上げでミッドを前面に出したリードサウンドや、MIDDLEを絞ったドンシャリサウンドなど、EQの効きは自然で使いやすい。
JMP 79単体では、意外とスッキリとした歪みでゲインは低め
アンプ側がクリーン(JC-120等)で、JMP79のゲインを上げていった時の歪みは、バリバリジャリジャリと有機的で荒々しくて鋭く、実機で体感したものを彷彿とさせますが、歪みの質がちょっと淡泊と言いましょうか、すっきりしていて、もうひと味、荒々しさや厚みが欲しいという感じ。ゲインも求めているほど上がり切らず、ブルースロックなら十分で、ハードロックにはもうひとプッシュ欲しい印象です。
ゲインを上げた状態でギターボリュームを絞ると、パリンとシャリンとしたクリーンに落ち着く、アンプらしい挙動です。このように綺麗に、鋭くクリーンになるペダルがなかなかなく、ここに可能性を見出しました。

総評としては、Lawrence Petrossがレスポンスにもこだわって再現しているだけあり、弾いた時の反応感や、ギターボリュームへの追従性が素晴らしいと感じました。
ゲインが低めであることに関しては、JMP 79の説明文には、実機のパワー段を模擬しているような説明が無く、アンプに入力させることを想定している(PAや、インターフェイス機器に入力させるような説明が無い)ことから、JMP79の出力を真空管アンプに入力して、そちらでの歪み感をミックスさせる想定なのではないか?と予想しました。
Mesa Boogie Mark Five:25との組み合わせでうまくいった
そこで、Mesa Boogie Mark Five:25と組み合わせてみますと、アンプ側でのゲイン感が足され、厚みがあり、粘りが出て、かなり近づきました。
そこで、なんとかしてこの質感を、練習環境であるValeton GP-5+ヘッドホンの環境で実現できないか考えました。GP-5でわずかに歪むアンプモデルと組み合わせてみると、GP-5の性能の限界もあり、歪みが潰れて思ったような開放感や、歪みの厚み、鋭さが出ません。(Quad Coretexのような高級機なら上手くいったかもしれませんが……)
Strymon FAIRFAXとの組み合わせにより、ヴィンテージマーシャルを弾く「夢を見れる」
そこで目をつけたのがStrymon FAIRFAXでした。レビューは↓
FAIRFAXは、Fender Champ系の小サイズのアンプ構成である、12AX7+6V6シングルエンド+トランスの歪み感を再現したペダルです。これにJMP 79を組み合わせることで、FAIRFAXにパワー段の歪みっぽい何かを出させることはできないか?と考えました。
結果は大成功でした。JMP 79の荒々しい鋭い歪み感でFAIRFAXをプッシュすると、FAIRFAX特有の鋭く、エッジの効いた歪み感と組み合わさり、厚みが出つつ、JMP 2203の雷のような荒々しいエッジの効いた歪みを維持しつつ、開放感があって抜けるサウンドになりました。さらに、ギターボリュームを絞った際に、明るく、鉄弦の震える質感が出てくれました。このコントラストを実現することがこれまで難しく、弾いていて感動を覚えました。まさにこれは、ヴィンテージのマーシャルJMP 2203を弾いている「夢を見れる」組み合わせだと感じました。
FAIRFAXの後段にはGP-5を配置し、GP-5では歪まないシンプルなJC-120のアンプモデル+York Audioのマーシャル系キャビIR+リバーブを設定し、ヘッドホンで楽しんでいます。

FAIRFAXは低音が厚いタイプではないので、JMP 79とGP-5で低音を盛り気味にしてやり、足りない低音を補正しています。
JMP 79は、後段の組み合わせ次第で、ヴィンテージマーシャルを弾く「夢を見れる」ペダル
このように、かなり工夫や追加投資は必要であるものの、ヘッドホン環境という限られた条件の下で、ヴィンテージマーシャルを弾く「夢を見れる」ポテンシャルを持っています。実際にアンプから音を出す環境ですと、真空管アンプを少しでもプッシュすると僅かに歪むような設定にしておくことで、近い特性を得られると思います。
歪みの鋭さとギターボリュームへの追従性を両立したマーシャル系ペダルというものは他にも存在しますが、少なくともLPD Pedals JMP79のポテンシャルは高く、おすすめできる1台だと思います。


