私のIbanez J.Custom RG8570のネック側にはDimarzioのAir Nortonが搭載されています。Ibanezが古くから純正採用してきているので、どんなサウンドか気になる人も多いのでは?と考えてレビューしました。

DiMarzio Air Nortonの歴史
DiMarzio Air Norton(DP193)は、1995年に登場したハムバッカー・ピックアップです。その原型となったのは、1994年に登場したNorton(DP160)となります。
Nortonは、ジョー・サトリアーニのシグネチャーモデルとして開発されたFREDと、強力な低音域と中音域を特徴とするThe Tone Zoneの中間に位置するサウンドを狙ったピックアップです。FREDの持つ豊かな倍音とThe Tone Zoneのパワー感を併せ持ち、ヴィンテージ系よりも高出力でありながら、ハイパワーモデルほど過激ではないサウンドを狙っています。そして、このNortonに、DiMarzio独自のAirbucker(エアバッカー)テクノロジーを組み合わせたモデルがAir Nortonとなります。
Airbuckerテクノロジーとは、マグネットとポールピースの間にわずかな空隙を設け、弦に作用する磁力を抑える技術です。磁力を抑えることで弦への影響を軽減し、弦の自然な振動を妨げにくくして、サステインやダイナミクス、ピッキングに対する反応の向上を図るものとなります。
現在ではネックピックアップの定番とされるAir Nortonですが、興味深いことに、開発当初はハイゲインアンプと組み合わせるリア用ピックアップとして開発されています。しかし、フロントに搭載した場合にも優れた特性を発揮することが判明。深みのあるウォームなサウンドを持ちながら、音が不明瞭になりにくく、フロント用としては豊かな倍音が得られるとして、Ibanezに純正採用されるなどして定番となりました。
Air Nortonのスペック
今回取り上げるのは、Ibanez RG8570に純正搭載されているFスペース仕様のDP193Fです。
- モデル:Air Norton(DP193F)
- マグネット:アルニコ5
- 直流抵抗:12.58kΩ
- 出力:270mV
- トレブル:5.0
- ミドル:7.0
- ベース:6.5
- ポールピース間隔:約51mm(Fスペース)
※トーンガイドはDiMarzio日本公式サイトの公表値。ポールピース間隔は1弦側から6弦側までの中心間距離。
Ibanez J.Custom RG8570のネック側に搭載されているのはF-SPACE仕様
Dimarzioやダンカンなどでもそうですが、ロッキングトレモロやシンクロナイズドトレモロ、テレキャス風ブリッジなどの幅広のブリッジに合わせて、ポールピースのピッチを合わせたハムバッカーを提供しています。DimarzioではF-SPACEとしてリリースされています。
Ibanez J.Custom RG8570は、Lo-Pro EDGEというロッキングトレモロを搭載し、Super Wizardという非常に薄くて広いネックを持ちます。ブリッジ側PUがF-SPACEなのは明白ですが、実はネック側も弦ピッチが一般的なギターよりも広く、F-SPACEが採用されています。実機を測定したらそうなっていました。(2025年製モデル)
Air Norton Neckのレビュー
Air Norton Neckの基本レビュー
大雑把にネットのレビューをまとめると「太く、ウォームで、アタックが丸く、滑らかなリードトーンを作りやすいネックハムバッカー。ロー~ローミッドの厚みと豊かな倍音によって、歪ませた単音では非常に歌いやすい。一方、その太さゆえに、ギターや音作りによってはクリーンやローゲインで暗さ、モコつき、鼻にかかったような中域の癖を感じることがある。」という感じ。実際に納得できる内容です。
かなりローやローミッドが厚く、ハイミッドもちゃんとあるというのが、もっと短いレビューです。
クリーンサウンドでは、JC系のアンプに直接繋いで、リバーブを深めに、コーラスもかけてアルペジオなどを弾くと、イメージ通りのクリーンサウンドが出てきます。これは、Air Nortonのしっかりしたローがありつつ、コーラスなどで低音が少し落ち着き、ハイミッドも出ていて温かさや煌びやかさがあるという特徴と言えるでしょうか。どこか、上質なクリーンを作り出すODやブースター、EQなどをかけたような整ったサウンドであるようにも思います。
ハイゲインサウンドでは、ゲインが高く、全体的に歪んで、バイオリントーンが簡単に出てきます。サスティーンが長いので「伸びる!粘る!」という印象が強いです。このあたりはブリッジ用として開発されたと聞くと納得できます。書いていて気が付きましたが、こちらもクリーンと同様に、「ODでちょいとプッシュした感じ」と考えると、そうかもしれません。
Air Norton Neckが使いにくいと感じてしまった
先に書いた通り、完全なクリーンやハイゲインならば「これこれ!」というサウンドが出てきます。ただ、私はそういうのをあまり使わず、微クランチからフュージョン系のミドルゲインぐらいの使いやすさを求めています。
厚いローからローミッドによって、微クランチでもローが飽和して目立ってしまったりして扱いづらさがあります。ミドルゲインでスムースなサウンドを狙ってもロー~ローミッドの強さが気になりやすいですし、スムースさを狙ってハイを少し落とすとハイミッドが残って「鼻づまり感」が出やすいのも気になりました。この鼻づまり感はギターのトーンを絞っても残るどころか目立つことがあります。他のギターだとそんなことにはならないバランスです。
自分のRG8570を、ローゲインからクラシカルなハイゲイン(モダン超ハイゲイン未満)ぐらいまででの使いやすさを狙ったチューニングにしたいと思うようになったため、Air Nortonは交換してしまったも良いかな?と考えました。
Air Norton Neckのレビューのまとめ
良いところと使いにくいと感じたことを述べました。まとめの最初に書いておくと「ハードロックやメタルで使う狙いが明白で、そこにピッタリのサウンドが出ている」ということは間違いありません。逆に言うと、そこから離れるとアンマッチになる可能性が高いです。
基本的に、結構クセがあるPUであると思うので、上手く乗りこなすことが出来れば、私が感じた使いにくさも問題なく、良いサウンドを出せるのかもしれません。
一方、Ibanezも「Air Norton最強」とは考えていないようで、PAF 36th Anniversaryを載せていたりするので、用途に合わせてチューニングするのは良いと考えています。

