友人とハイゲインペダルを物色している際に、Empress Effects「Heavy Menace」に注目。お茶の水で試奏して、友人が購入を即決して、私も欲しかったのですが在庫は1個だけということで友人に譲り…ということがありました。しばらくして「家で試す?」と、その友人からオファーを受けたのでお借りしてレビューします。
スタジオ系機材を得意とするEmpress Effectsですが、Empressが放つハイゲインメタルペタルの実力とは?というのが今回のレビューのポイントです。Empressが得意とするEQなどが良く効いており、サウンド、セッティングの柔軟性の高さなど、完成度が高いです。

Empress Effectsといえば…
Empress Effectsといえば、パラメトリックEQやコンプレッサーが超有名・人気で、両方とも「プロがおすすめする機材」とかで入ってくるレベルの製品です。そのほか、バッファーやルーティング機能の付いたバッファーも人気です。他には、リバーブ、エコー(ディレイ)、モジュレーション、シンセ系などもあります。
ここまで見てわかるように、スタジオ機材系を思わせる「原音をレコーディング品質に整える機材」が人気ですし、実力があります。これについては全くの反論の余地なし。
Empress Effectsだからこそ作れたHeavy Menace
一方で、Heavy Menaceは超ハイゲインメタルペダルです。Heavyというモデルがあって、それのコンパクトかつ機能追加版として登場しました。
スタジオ機材系が得意なEmpressらしくないと言えばらしくないですが、私にとっては、インテリなドイツ人が気の狂ったようなメルセデス-ベンツ AMGを作るようなイメージです(※Empressはカナダの会社なので、これは例えです)。
レビューの前に断言しておくと、Heavy Menaceの完成度はめちゃくちゃ高いです。ハイゲインモダンメタル用ペダルの決定版と言ってよいと思います。超評価の高いREVV G3を愛用している自分もそう思うぐらいすごい。
それで、Heavy Menaceを使ってみると、Empressだからこそ作れたペダルだし、Empressだからここまでの完成度に至れたのだなと感じるところが多くあります。
Heavy Menaceのレビュー

豊富な機能の解説
このHeavy Menaceの特徴は、ドライブペダルの割に機能が多いことです。簡単なところから解説すると、gain、output、low、mid、highとあります。3バンドEQのドライブペダルです。右側のフットスイッチでドライブをオンオフします。
Heavy Menaceの機能的な大きな特徴は、ゲート(gate)が備わっていることです。入力に応じてカットするゲートが入っており、左側のフットスイッチでオンオフできます。そして、そのスレッショルドも調整可能。
mid freqはmidのEQの効くポイントを設定するものです。サウンドに大きく影響するのでレビューで説明します。
weightは、歪み段に入力される低音域の量を調整するものです。weightを上げてゆくと厚みが出るものの潰れやすくなります。Mesa/Boogieのマークシリーズは歪み段の前にEQノブがあり、歪みの後段にグライコが置かれているとして有名です。なので、EQノブでミッドやローを持ち上げすぎると歪みが太くなるけど潰れるから注意!というのが定番の指南になっています。それをイメージしてください。
最後にスイッチで、Menace標準の歪み、よりヘビー、よりライトと切り替えが可能です。
Heavy Menaceの基本は(ハイゲインだと)ENGL系だと思う
音出しして、触ってみて最初の感想は「まさにモダンハイゲイン!!」。モダンハイゲインアンプで分かりやすい系統で例えると、ENGL Fireballに比較的近いように思います。ゲインは十分に高く、ゲインを上げてもグッシャグシャになりにくい。ザクっと鋭い歪みで、キレがある。lowを上げてもボワつきが少なく、バシッと引き締まっています。
EQが効く! サウンドキャラが大きく変わる!
さすがパラEQが有名なブランドだけあって、各EQの効きが良いし、狙ったところを動かしてくる印象があります。さらに、mid freqでは200Hzから2.5kHzまでの間でmidのEQが効くポイントを動かすことが出来ます。
たとえば、lowとhighを上げて、midを極端にカットしたVシェイプサウンドにして、mid freqをちょっと低い周波数に効かせると、厚みがありつつ、ローミッドのもたつきが無く、ハイミッドの鋭さが立った強烈なVサウンドになります。逆に、mid freqを上げるとローミッドが残ってハイミッドが抜けてこない感じ。
あるいは、ローゲイン気味にしてmidを持ち上げ、low、highを相対的に抑え、mid freqを弄って抜けを確保しつつ、粘りのあるリードサウンドとかも作りやすいです。これは本当にすごい。
想像以上に使えるゲインの幅が広い
ゲイン控えめ(といっても、そこそこ高いが)のlite(ish)モードにして、適当にEQを整えると、ハードロック系やポップスロック系の、エッジの効いた、軽快なドライブサウンドまで対応できます。また、上手く設定してやると、先に書いたような、粘りのあるリードサウンドも作ることが出来ます。
サウンドの味付けに大きく影響するweight
使えるゲインの幅を広げてゆく際に重要になるのがweightです。weightは、低音域を歪み段にどれだけ流し込むか?を調整するものです。軽やかで軽快とか、強烈に歪んでいるけど整っているモダンメタルを目指すのであれば、weightは絞りきりでも問題ありません。
weightを上げてゆくと、ちょっとどんくさい、もさっとした感じがありつつ、温かみや厚みが出てきます。先の「粘りのあるリードサウンド」を作ってゆく上では、ここが重要なパラメーターです。クラシカルなイメージに寄せるなら、weightの設定は煮詰めた方が良いでしょう。
超便利なgateでモダンハイゲインもばっちり
最後に、忘れてならないのはgateです。念のため解説しておくと、入力信号が小さくなると、内部で信号の出力が遮断されて無音になるものです。そして、入力が再び入ると音が出るようになるという機能です。元々は、演奏の合間や静かなシーン、休符の際にノイジーになることを防ぐものでした。
gate thresh(ゲートの閾値)が設定可能なので、ギターや環境のノイズレベルに合わせて、gateが効くレベルを調整可能です。
モダンメタルというかDjent系では、リフでザクザクさせているタイミングでもバツバツとゲートを効かせるようなこともあり、モダンメタルではゲートは必須なのかなぁなどと思うと、ドライブペダルに搭載されているというのはとても嬉しいです。
よりマニアックに説明すると…
ゲートのエフェクターが単体であって、ドライブペダルの前に置くとしますと、入力が無くて音をカットしてもドライブペダルはONのままなので、ドライブペダルの中で発生するノイズは出っぱなしです。
ゲートエフェクターをドライブペダルの後ろに置きますと、ドライブペダルの出すノイズによってバシッとゲートが効かないという事態も発生します。
ですので、より高性能なゲートエフェクターでは、ギター直の入力を読み取りつつ、カットしたいところの間に割り込むような構造になっている物があります。
Heavy Menaceはそんな複雑なことを必要とせず、クリーンな入力のギター信号を基準にゲートをオンオフし、カットするのはドライブサウンドの出力なので、ノイズの影響を受けにくく、ゲートの効きも鋭い!ということになります。これは、ゲートを積極的に使用する場合に便利です。
Heavy Menaceはハイゲインペダルの決定版です!
十分なほどのハイゲイン、良く効くEQ、キャラクターを大きく変えるmid freq、ゲート機能だけでも十分な高評価を得られるのに、ローゲイン設定も良く、音の潰れ方を調整できるweightまで付いています。サウンドも鋭さがあって良い。
もちろん、もうちょっとバリバリザラザラしたDiezel系が好きとか、もっと厚みとコクのあるBognerが好きとか、そういう好みの問題はありますが、ザクザクと鋭く、エッジの効いたドライブサウンドが好みであれば、相当広い守備範囲を担当してくれます。
REVV G3が好きで使っていますが、あちらは「ゲインの高いハードロックから、メタル系専門で上手い」のに対して、Heavy Menaceは「多芸で、それぞれの芸のレベルまで高い」という印象。Heavy Menaceは高いですが、値段以上の仕事をしてくれるのは保証できます。
これが最終終着点にならなくても、ここからどの系統に寄せるか?を検討できれば、最速レベルで軌道修正できるのではないか?と思います。
これはやっぱり買うかな。
